『桃栗三年、ガキ八っあん』2021年11月13日 12時10分10秒

<落語・八つ当たり>

大:どうした熊さん、赤い顔して、悪いモノでも食って当ったか。
熊:当る?フグだってこっちから当ててやらあ。そうじゃなくて、こないだの秋祭りの演奏会で。
大:ああ、演奏しないで1時間しゃべって、八っあんに「木戸銭返せ」って、言われたやつか。
熊:そうよ、それで、あのガキの野郎、今に見てろってんで、アドリブ理論の本買って、じっくり読み込んで、いざ本番でやってみたら、全然出来やしねえ。こりゃ本が悪いせいだから、今から出版社に怒鳴り込んでやろうと思って。
大:それで興奮して、顔が赤いのか。そりゃ本のせいじゃないだろうな。熊さん、本を読むのはいいが、練習はしたのかい、しない?そうだろうな。
熊:なにかい、本を読んだだけじゃダメだったてのか。
大:当り前だ。昔、ある理論家がいて、水泳の本をいっぱい読んで、よし、ってんで水に飛び込んだら、溺れて死んじまった、という笑い話がある。それと同じで、理論と実践が伴って、初めて物事をなし得る。
熊:実践ってえと。
大:そりゃ、いっぱい練習することだ。理論で読んだことをやってみる、また理論、実践、その繰り返しで、自家薬籠中の物となる。
熊:なんだいその、ジカなんとか言うのは。
大:ジカヤクロウチュウ、つまり自分のものとして使いこなす、という意味だ。
熊:へー、ジカなんとかで出来るようになるんなら、帰ってやってみるか。
大:そうしな、出版社なんかに怒鳴り込むんじゃないぞ。
熊:ああ、そのかわり、八公のガキんとこへ怒鳴り込んでやる。
大:そんなことしたら、八っあんが迷惑だろ。
熊:いいんだよ、これがホントの、”八つ当たり”

そこで本日の一言、
『桃栗三年、ガキ八っあん』