『ドの所変われば品変わる』2022年09月02日 11時35分35秒

<落語/テナーのド>

熊:隠居、居るけえ。
隠:おや、熊さんかい、なんだか元気がないようだが、どうしたい。
熊:いえね、今度、俺が書いた楽譜でテナーサックス(以下TSax)の野郎とコンボバンドをやることになったんだが。
隠:ほう、そりゃ楽しみだな、それで。
熊:トロンボーン(以下Tb)ってのは、楽譜がinCで書いてあるよな、だからC調の楽器だろ。
隠:ん~、ま、いいだろう、それで?
熊:で、TSaxってのはB♭調の楽器だって聞いてたからinB♭で楽譜を書いたら、そいつが、「いや、inCの楽譜をくれ」って、とんでもねえことを言いやがんのよ、それでバンドを解散しちまおうかと。
隠:おやおや、そういうことかい、そりゃ、最近の風潮がそうなんだ。
熊:空調?ああ、クーラーとかの。
隠:そうじゃない、熊さんはトロンボーンはC楽器と言ったが、Tbも、TSaxも、楽器の作りとしては、どちらもB♭楽器なんだ。
熊:え、Tbもかい。
隠:そう、Tbは1ポジション、TSaxはリコーダーと同じで全部閉じた位置がド、実際出ている音はB♭、という作りなんだ、ただ、Tbは、低音部記号で書くついでに、楽譜もinCで書くことにした。
熊:そういや、Tbのドってのは、6ポジションて、変なとこだと思ってた。
隠:それと同じように、最近はTSaxも、inC楽器として、つまりレの指使いを、最初からド、と覚える人が増えてきた。
熊:なんで、そんなことをするんだ。
隠:そゃ熊さんも分かるだろ、inCで覚えたほうが、ピアノと合奏したり、他の楽器と実音で確認するとき、便利だからな。
熊:そういうことかい、じゃTSaxの野郎がイヤミで言ったわけじゃねえんだな。
隠:そうさ、で、その演奏ってのは、いつやるんだい。
熊:なに、コンボバンドだけに、またコンボ(今度)。

そこで本日の一言、
『ドの所変われば品変わる』