『♪雪やこんこん、ではなくて、雪やこんこ』2023年12月22日 11時11分11秒

<落語・シン雑俳>

熊:隠居、寒いね、朝起きたら真っ白だ、だから俺ぁ冬は大嫌ぇなんだ。
隠:おや熊さんか、確かに寒いが、少しは風流を楽しんだらどうだ。
熊:風流ってえと?
隠:「初雪」で俳句を詠むというのも、風流だな。
熊:俳句?ああ、「古池や カッパ飛び込む 水の音」って、あれか。
隠:カッパじゃないが、少しは知ってるようだな、たとえば、
  「初雪や 瓦の鬼も 薄化粧」
熊:なんだ、そんなんでいいのかい、じゃ俺も、
  「初雪や 猫がすべって 屋根から落っこちて おお痛てて」
隠:猫は落っこちはしないが、動物で言うなら、
  「初雪や 犬の足跡 梅の花」
熊:そりゃ北国の犬だな、隣りの犬は寒がりだから、
  「初雪や 犬は炬燵で 丸くなる」
隠:丸くなるのは猫だろ、うっすらと積もった初雪の景色なら、
  「初雪や せめて雀の 三里まで」
三里というのはお灸のツボで、膝っ小僧の少し下のところ、すずめの三里というから、わずかな雪ということだな。
熊:ふーん、でも北国の初雪はそんなもんじゃねえぜ、
  「初雪や ダチョウの首が 埋まるまで」
隠:ダチョウは、雪の降らない南の方の鳥だろ、
  「初雪や 二の字二の字の 下駄の跡」
熊:今どき、下駄なんぞ履いてる奴は居ねえよ、
  「初雪や 裸足で歩く 雪男」
なんてね、さてと、雪がひどくならねえうちに俺ぁ帰るよ。
隠:なんだ、もう少しゆっくりしていきゃいいのに。
熊:いや、よく言うじゃねえか、「雪はよいよい帰りは恐い」。

そこで本日のひと言、
『♪雪やこんこん、ではなくて、雪やこんこ』

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