『ミなしフタなし芳一』2022年08月30日 09時00分00秒

<現代風「怪談・耳なし芳一」>

まだまだ暑い日が続いています、そこで少しでも涼しくなるよう、キャバレーに伝わる恐い話を一つ・・・。

昔々、あるキャバレーに、芳一というトロンボーン吹きがおりました。
ある日、芳一のところに、大金持ちの家の召使いと名乗る男が来て、
「ギャラは幾らでも出すから、うちに来てご主人様のためにトロンボーンを吹いてくれ」
と言いました。
芳一がその家に行って演奏すると、主人はたいそう喜んで、次の日も来てくれ、また次の日も、ということで、一ヶ月通いました。

キャバレー仕事が終った深夜に、一人で出掛ける芳一の行動を変に思った友人が、後をつけていくと、芳一が墓場の中でトロンボーンを吹いているではありませんか!
びっくりした友人は、次の日に芳一に言いました、
「お前は幽霊に取り憑かれている、今日で終わりにしろ」

その夜、友人が墓場に行ってみると、墓場の中で芳一が泣いていたので、どうしたのかと訊くと、芳一は答えました、
「一ヶ月分のギャラを、半分ずつ2回に分けて払う、と言うから、そりゃない、全額、耳を揃えて払ってくれ!、と泣いている!」
友人はあきれて、
「幽霊に、耳を揃えてギャラを出せって、よく言ったな」
と、笑いながら言いました、それに対し、芳一は言いました、
「そう言ったら身も蓋もない、幽霊でもギャラはギャラだ」

それ以来、彼は「耳なし芳一」と呼ばれるようになった、ということです・・・
おお、恐!

そこで本日の一言、
『ミなしフタなし芳一』