『触る紙に祟りなし』2021年12月23日 11時11分11秒

<手元に残る大切さ>

毎年のこと、暮れになると来年の手帳を買う、が・・・

1ヶ月のスケジュールさえ分かればいい使い方で、タブレットに予定を書き込むようになって、スケジュール管理もデジタル化している。

ここ数年来、郵便局でもデジタル年賀状なるものを宣伝していて、人間は紙にものを書くことから、さらに遠ざかりつつある。

中空に奥行きのある三次元のデジタル絵画を描く、ゴーグルを付けて架空世界を楽しむ、そんなことが当り前になってきた。

しかし、「三次元世界」、魅力的な言葉ではあるが、ふと気が付いたら、触れて存在を確かめるものが、手元に何も残らない、のでは。

約二十年書き続けている日記も、手帳も、紙に書いた記録として、確実に存在し続ける、そんなアナログ世界も忘れないようにしようか。

そこで本日の一言、
『触る紙に祟りなし』

『・・・ん~、落ちる前なら・・・』2021年09月09日 10時00分00秒

<まるで手遅れ医者?>

今日9月9日は「重陽の節句」。陽の数字とされる奇数のうちの、一桁で一番大きな数字が九、それが重なるお目出度い日、とのこと。

そういえば、1月1日、3月3日、5月5日、7月7日と、奇数の重なる日は、何かの節句になっている。重陽の節句には菊をめでて祝う。

その重陽の節句に関する言葉が「十日の菊」、一日遅れで役に立たないことの意味、5月5日に間に合わないのが「六日の菖蒲(あやめ)」。

ちゃんと予測すれば分かったはずなのに、一日遅れどころか、全くの手遅れじゃないの、という状況が、今の世の中いろいろ目に付く。

気が付かないあいだに、想像力の貧困が人類に蔓延しているのか?コロナウイスルが、まさかそこまで読んでいる、とは思いたくないが・・・。

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「手遅れ医者」と呼ばれている医者に、今屋根から落ちたばかりの患者が運ばれて来た。しかし、医者は「手遅れじゃ」、「今落ちたばかりなんですよ、いったい何時連れてくれば助かるんですか!」

そこで本日の一言、
『・・・ん~、落ちる前なら・・・』

『果報は寝て待つな』2021年09月06日 10時10分10秒

<愛しい北斎様>

夕食の買い物のついでに本屋を覗いたら、葛飾北斎の本があったので、つい手が延びた。ある展示会のガイドブック、のようだった。

東京の方での展示会に提供されたらしく、内容もそのイベントに沿ったもので、特別な記事はなかったが、展示会とは、うらやましい限り。

北斎への興味の発端は、杉浦日向子さんの「NHKテレビ・お江戸でござる」、日向子さんの、北斎を描いた漫画、「百日紅(さるすべり)」を見てから。

展示会やイベントが地方に回ってくることはめったにない。テレビ番組で紹介があっても、やってくるのは忘れたころ、といった具合。

若い人には、興味のあるイベントがあったら、迷わず行ってもらいたいもの。”また今度”は無い、果報は寝ていてもやって来ない、そんなものだから。

そこで本日の一言、
『果報は寝て待つな』

『友あり遠方より電話来る、また楽しからずや』2021年07月22日 10時10分10秒

<ある午後のたわいない電話>

昔のバンドマン仲間のT君から電話があった。

「Y.Y.(ブラバンの同期)の姉さんがコロナでのうなったて、それが孫からうつされて、て」
「え~っ、孫てゆうたら、中学生ぐらいやろか」
「身内からでんうつるけん、気いつけんといかんばい」

「あんた、ワクチン受けたね?」
「今月初めに1回目ば受けた、あんたは?」
「俺、透析しよるけん」

「月世界んときの○○さん、元気しとらすね」
「この前電話あった、ばってん、もう87て」
「俺たちより上の人て、もうそろそろの人、ばっかりやけんね」

「あんた楽器吹きよるとね」
「コンボバンドとフルば少し。あんたは」
「俺、半身不随やけん楽器持たれんやろ、この前△△君に楽器載せる台ば作ってもろて、リハビリに少しずつ吹きよる」

「今日は病院やなくてデイサービスやけん、時間のあったけん電話したと」
「いつも電話もらうばっかりでごめんね」
「ほんならね、また電話するけん」

そこで本日の一言、
『友あり遠方より電話来る、また楽しからずや』

『芸は自ら助くる者を助く』2021年04月15日 09時45分45秒

<そうきたか>

演奏依頼を受けた会場へ、いつも仕事を仲介してくれる人と一緒に打ち合わせに行った。

「イベントの係の者です、当日は演奏のほう、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします、えっと、このような具合で進めたいと思いますが」
「はい、けっこうです」
「ところで、イベントの名称はどうなっていますでしょうか」
「あ、仲介の方のお話を聞いて、こちらでチラシを作りました。こんな感じです」
と、見せてもらったチラシのタイトルが、

『トロンボーン&”漫談ショー”』 (画像の通り)

”漫談ショー”!?そうきたか。老人向けの会のときは、演奏だけでなく、曲と曲の間をおしゃべりで埋めている。それは、聴く人の興味が途切れないため、なのだが。

それが、仕事を仲介してくれる人には、”漫談”ショー”に見えるのだろう。が、それで仕事が貰えるなら、それはそれでいいとしよう。ただ、いつのまにか「芸人」と紹介される心配も・・・。

そこで本日の一言、
『芸は自ら助くる者を助く』

『♪春は名のみの カミさんの寒さや』2021年02月15日 10時15分15秒

<カミさん語録>

<主演女優賞?>
たまにベランダに現れるノラ猫が、いかにも、「死にそうです~(泣)」の甘え声で鳴いていた、その次の日、
カミさんが言うには、
「あの猫、○○さんとこのベランダでグーピー寝てるんよ、昨日のあの鳴き方なんやったん、アカデミー賞、やりたいわ!」

<一字違いで大違い>
農事センターに梅が咲いているかも、と訪問したが、咲いていたのは1本の梅ノ木だけ。その木の下で、カミさんが、
「梅て、やっぱり、香りに、下品が・・・」
「えっ!?」
「あ、違った、気品が、やった、えらい違いやね」

そこで本日の一言、
『♪春は名のみの カミさんの寒さや』

『「おい」と声を掛けたが返事がない(夏目漱石・草枕)』2021年02月01日 10時10分10秒

2月にしては暖かい昨日、市の議員選挙があって、投票に行った。

投票を済ませ、近所をブラブラしてみた。川辺の桜の木が、ほんの少しだが芽が膨らみ始めていた、桜よ、だまされるな、まだ2月だぞ、おい。

その先に高~い木があった。ふと見上げると、5mぐらいの高さの枝に猫がいる!そんな高い処で寒くないか、下りられないのか、おい。

さらに進むと、あるアパートのベランダにノラ猫が4匹わだかまっている、ポカポカした陽気の中で警戒心ゼロ、お前ら、野性失ってないか、おい。

家に戻ると、ベランダの外の木にヒヨドリが来て、食べ終わったミカンを突っついてキーッ、キーッと鳴いている、それって催促か、おい。

2月になったが、緊急事態宣言は解除されない様子。2月の寒さと世間の寒さは、まだまだ続きそうな気配、もうしばらくはじっと我慢かな・・・おい。

そこで本日の一言、
『「おい」と声を掛けたが返事がない(夏目漱石・草枕)』

『四字でないのは四どころない事情』2020年11月21日 09時55分55秒

<バンドマンのための四字熟語(下)>

【 薄手喝采 】:はくしゅかっさい
なま・温かい拍手のこと。

【 八苦裏多売 】:はっくりたばい
四苦八苦しながらバンド以外のいろいろいな裏家業で稼ぐこと。

【 美人穿くめい 】:びじんはくめい
マリリン・モンローの寝間着はシャネルNo.5だったということ。

【 不言十項 】:ふげんじっこう
バンド社会で言ってはいけない十の項目のこと。ちなみに、
悪口、陰口、タメ口、軽口、追従 (ついしょう)、
讒言 (ざんげん)、放言、繰り言、泣き言、たわ言。
もちろん、どれもバンドマンにとって実行不可能な項目。

【 婦減十効 】:ふげんじっこう
女性関係を減らせばいろいろな面で効果があるということ。

【 へー音無事 】:へーおんぶじ
ベース奏者はヘ音記号(低音部用の楽譜記号)をちゃんと読めると雇ってもらえるということ。

【 暴淫暴色 】:ぼういんぼうしょく
酒池肉林の沼にはまること。

【 平々ボンボン 】:へいへいぼんぼん
いいとこ出のお坊ちゃん(ボンボン)は平かな道を歩んでいるのでジャズに深みがないということ。

【 望弱無事人 】:ぼうじゃくぶじじん
高望みしない者の方がバンド社会では平穏無事に生き延びること。

【 慢心創痍 】:まんしんそうい
自信過剰のバンドマンはいずれ傷だらけの人生を送るという警告。

そこで本日の一言、
『四字でないのは四どころない事情』

『 前門のコロナ 後門の御上(おかみ) 』2020年11月20日 10時05分05秒

先日、異業種交流のような会に出席した、GoTo~の解禁で。

入り口で検温を受け、手を消毒し、会場へ入る。小さめの宴会場に、6人掛けの丸テーブルが五つ、今回の出席者は30人ほど。

3ヶ月おきに開かれる会だが、コロナの影響で、9ヶ月ぶりの開催、参加者も半分ほど。主催者の苦労がしのばれる。

会食前に、透明のうちわが配られ、「会話はそれを口に当ててお願いします」。多分その会式場の常備品なのだろう。

2時間で会は終了したが、その間、そのうちわはほとんで使われることなく、テーブルに置かれたままで会話が交わされた。

第三波が急速に広がっている。それでも、GoToは継続、少ない人数で会食をと、コロナと経済を天秤にかける方向性は変わらないようだ。

自身、宴会に出席して感じたのは、場当たりの検温の疑問、人々の会食中の自制心の欠如、結句、コロナに対する警戒心の希薄さ。

会が終って数日経つ。もしコロナに罹患していても、発症するのはもう少し後。その間、自分を恨むか、GoTo政策を恨めしく思うか。

そこで本日の一言、
『 前門のコロナ 後門の御上(おかみ) 』

SF小説 『 脳は口ほどにモノを言う 』2020年11月20日 09時45分45秒


ある会社の役員会議が始まって2時間経った。途中、喉の渇き止め用のペットボトルのお茶が丸々残っている状況でコーヒーが出されたが、それにも手を付ける者はおらず、淡々と会議は進行した。

やがて、社長が席を立ち上がると、専務、常務、部長全員が立ち上がり一礼し、社長もそれに応え軽く頭を下げ、会議は閉会した。その2時間の会議中、一言の言葉も発されることはなかった。

「いやぁ、今日の会議は楽だったね」、「そ、みんなの意志の疎通が途切れなかったし」「社長も、今日は変な雑念を発して赤恥をかくこともなかったしな」「そうそう、あれは気を使っちゃうねぇ」。

「しかし、過去の会議のように、喋るってのも悪くないって思わない?」「いやいや、50年前のコロナの流行が発端となって、人間が獲得したすばらしい能力を使わない手はない、今さら”喋る”なんて不要だよ」「お茶もコーヒーも、形式儀礼だしね」

その部長たちは、いや、今や全人類はテレパシーで会話していた。人類の口は、火、道具、言葉、を使うヒトの三つの能力のうちの、喋る能力を捨て、ただ食べるだけの器官になっていた、「食事の時以外はマスクを外すことを禁ず」、という『地球コロナ法』が発布されて以来・・・。

そこで本日の一言、
SF小説 『 脳は口ほどにモノを言う 』