『石川や 浜の真砂は尽きるとも 世にやせ我慢の 種は尽きまじ』2023年08月24日 15時15分15秒

<改作落語・強情熊>

熊:おう隠居、生きてるかい。
隠:ああ、熊さんか、なんとかな、しかし、この暑さには参るよ。
熊:暑い?何を言ってんだ、こんなのは暑いうちにへえらねえよ、見ろ、俺なんざ、長袖に長ズボンだ。
隠:ま、それぐらいならいいが、熊さんも、用心しないと体を壊すよ。
熊:体を壊す?てやんでぇ、人間は万物の霊長ってんだ、犬や猫を見ろい、毛皮で頑張ってらぁ。
隠:犬や猫といっしょにされちゃたまらないが、この夏は危険な暑さって言うんで、日本中の人が用心してるんだ。
熊:それが、最近の日本人は辛抱が足りねえってんだ、俺なんざ、寒いぐれえだ、待ってな、今冬服を持ってくるから・・・どうでい見ろ、セーターの上に、ジャンパーを着ても、なんともねえや。
隠:おい、熊さん、無理するんじゃない。
熊:無理なんざしてねえや、まだ寒いぐれえだ、この上にコートを羽織って、と。
隠:おい熊さん、止めなよ、汗びっしょりじゃないか。
熊:てやんでぇ、石川五右衛門を見ろ、釜茹での刑にされても、ニッコリ笑って辞世の句を読んでんだ、ついでにカイロを入れて・・・。
隠:熊さん、もうよしなよ、顔が真っ赤だぞ。
熊:なんだと、顔が赤いのは生まれつきだ、このぐれえで・・・あ、暑くは・・・ボーッ。
隠:おい、しっかりしろ熊さん、全部服を脱ぎな、いま水を持ってきてやるから・・・ほれ水だ、どうした、暑かったろ!
熊:う~ん、いいや、俺は暑くはねえが、五右衛門は熱かったろう。

そこで本日のひと言、
『石川や 浜の真砂は尽きるとも 世にやせ我慢の 種は尽きまじ』

参考:古典落語「強情灸」

(本日の当プログへのアサブロ・アクセスランキング 242 位)