『めでたさも 中くらゐなり コロナ春』2022年01月08日 13時33分33秒

<自作落語・七草粥>

熊:大家さん、おめでとさん、おや、お粥を食ってるとこみると、大家さんも、そう長くはねえな。
大:何を言いやがる、昨日は七日正月といって、七草粥を頂いて、これはその残りだ。
熊:七日正月、ああ、初七日か。
大:初七日ってえやつがあるか、七つの草を頂くんだ。
熊:ああ、質屋に持って行って金に換える・・・。
大:それは質草だ、そうじゃなくて、春の七草、それをお粥にして頂くのが七草粥だ。
熊:へー、七草ってえと、どんなんです。
大:「セリ・ナズナ、ゴギョウ・ハコベラ、ホトケノザ、スズナ・スズシロ、春の七草」、こんなふうに七五調で言うと、覚えやすいな。
熊:ふーん、じゃ秋の七草ってのもあるんだろ、どんなんだい。
大:秋の七草というのはだな、
「昔、人からクズだと言われていた男が、故郷の萩を出て、江戸で頑張った、そして数年後、一旗上げて萩に帰郷した・・・」
熊:あのね大家さん、秋の七草のことを訊いてるんだがな。
大:まあ待ちな。
「男は綺麗な藤色の袴をはいていたが、人々は、おめえ何しに帰ってきたと冷たい、しかし、彼の叔母は頭を撫でてくれた」、という話だな。
熊:なんだい、秋の七草はどこへいっちまったんで。
大:だから、いま言ったのが、秋の七草だ。
熊:え、いったいどこか。
大:だから、萩に帰郷したから、ハギ・キキョウ、クズが藤色の袴だから、クズ・フジバカマ、おめえ何しに、だからオミナエシ、叔母が撫でたから、オバナ・ナデシコ、つまり、「ハギ・キキョウ、クズ・フジバカマ、オミナエシ、オバナ・ナデシコ、秋の七草」、だな。
熊:ひでえダジャレだな、コロナみたいな寒気がすらあ。
大:寒気がする?どんなふうにだ。
熊:もちろん、秋の七草だから、オー寒~(オータム)。

そこで本日の一言、
『めでたさも 中くらゐなり コロナ春』