一幕芝居「志村けんさんを偲ぶ」 ― 2020年04月02日 11時35分35秒
( 幕が開く、薄暗い細い道で、ふたりの男が話している )
「おや、熊さんじゃないか、どこへ行くんだ」
「あ、ご隠居、なにね、てえくつだから、ちょっと演芸場にでも」
「てえくつ、って言い草があるか、いくら退屈だからって、出歩くのはよしたほうがいいな」
「え、なんでです」
「今、世界中がコロナと戦ってる、コロナを広げないためには、人にうつさない、うつされない、それには人と接しない、つまり出歩かないのが一番、ってことだ」
「え~、でもそんなんじゃ、娑婆(しゃば)の生活は、たまったもんじゃねえな」
「そうなんだが、ま、ここしばらくはじっと我慢、なんとか生き延びる手立てを模索しないと」
「えー、コロナで死んじまった隠居が言うのも変だな」
「熊さんもだろ、ところで、今日は誰が出てるんだ」
「それそれ、今日は『三途の川演芸場』で、新人が初ライブをやるんだ」
「ほう、どんなんだ」
「ん、『志村けん・ひとりコント』」
「そりゃ楽しそうだな、わしは今から「コロナ死者の会」に顔を出して、閻魔大王に出す嘆願書作りだ、じゃまたな」
「隠居も気を付けて・・って、気を付けてても、ここに来ちまったんだけどね、じゃあ」
( 二人はそれぞれ「六道の道」を風に乗って去っていき、静かに幕が降りる) < 終 >
・・・志村けんさんのご冥福をお祈り申し上げます・・・
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