『巧言令色 少なし ジーン』2025年07月11日 11時11分11秒

<新作落語「行き違い」>

隠:おや、どうした熊さん、ずいぶんご機嫌だな。
熊:あ、ご隠居、なにね、バンドの中でちょっとした行き違いがあったんだが、うまく解決してね。
隠:そりゃよかった、ちょっとしたことが後々大きな亀裂になってしまうこともあるからな、で、どんな行き違いだったんだ。
熊:なにね、メンバーが小学生バンドの演奏を聴いて、上手いなあって言うから、な~に、あいつらの力が50なら、こっちは100だ、あいつらとうちのバンドは『五十歩百歩』だって言ったら、妙な雰囲気になって。
隠:熊さん、『五十歩百歩』ってのは、たいした実力の無いものを比較するときに使うんだ、それだけかい。
熊:メンバーに二人目の子供が生まれて、男の子ってえから、そうか、『一男去ってまた一男』だなって言ったら、睨まれた。
隠:それは一男じゃなくて、一難だ、ほかにあるか。
熊:干支の話になって、トランペットのやつがイヌ年で、サックスのやつがサル年だってえから、じゃ、二人は『犬猿の仲』だな、って言ったら、その場がシーンとなった。
隠:そりゃ妙な雰囲気にもなるだろ、で、どうなった。
熊:でも、バンドで最年長の俺がいるからバンドが賑やかだって、みんなが褒めてくれたんで、いっぺんに雰囲気が良くなって、俺ぁジーンときちまった。
隠:ほう、熊さんがジーンときたとは、どんな風に褒められたんだ。
熊:『枯れ木も山の賑わい』だって。

そこで本日のひと言、
『巧言令色 少なし ジーン』

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