『茶柱も一時』2024年04月01日 11時11分11秒

<落語「バンドの花見」>

熊:大家さん、いるかい。
大:おや、熊さんか、その格好は、花見にでも行くのかい。
熊:ああ、バンドのメンバーで花見に行くことになって、俺が幹事なんだ、で、ちょいと相談だが、なんか面白いパフォーマンスがねえかなと思って。
大:花見の趣向か、そりゃ面白そうだな、じゃ落語の「長屋の花見」みたいにやるのはどうだ。
熊:どんなんだい、そりゃ。
大:長屋中で花見に行くんだが、大家さんが持ってきたのは、実は、酒はお茶を水で薄めたやつ、カマボコのつもりで大根、卵焼きはたくわん、赤い毛氈のつもりで筵(むしろ)、ってやつだ。
熊:冗談じゃねえよ、そんなことしたら、メンバーから総スカン喰らっちまう。
大:いや、最初はそうしといて、皆がガッカリしたところで、「実は」と、本物を出す、ってえ趣向だ。
熊:なるほど、いいねぇ、よし、それでいこう。

大:どうしたい熊さん、真っ赤な顔をして、花見は済んだのかい、趣向はどうだった。
熊:ハハハ、それが大笑い。
大:え、どうしたんだい。
熊:なに、「実は」と言って出すはずの酒を、先に俺が全部飲んじまった。
大:おいおい、そりゃメンバーも怒ったろう。
熊:いや、みんな喜んでた。
大:どうしてだ?
熊:酒の代わりに注いだお茶に、茶柱が立ってた。

そこで本日のひと言、
『茶柱も一時』

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