『トラブクは死んで皮を残さず 人は死んで名を残す』2022年01月05日 10時50分50秒

<落語・トラフグ鍋>

「おい、熊公だ、あのイヤミ野郎がこっち来る、俺ぁ、留守だからな」
「あたしだってイヤですよ、あ、来ちゃった、まあこれはこれは熊さん、あけましておめでとうございます」
「なに、一休さんも言ってら、”門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし、チーン”ってね、で、バンマスは、いない?さっちチラッと見えたが、もうお隠れになったか」
「縁起でもねえ奴だ・・・おや熊さん、来てたのか」
「これはこれはバンマス、もう蘇りなさったんで」
「何を言いやがる、ま、おめでとよ、今日は何の用だ、正月の挨拶回りか」
「いえね、なんでもバンマスが年末宝くじで100万円当ったって聞いたんで、是非ともお祝いに、ってんでね、さあ、ナンか食わせろい」
「食わせろい、って奴があるか、ちょうど鍋で1杯やるところだ、お前もやっていきな」
「え、鍋?いいねえ、鍋で日本酒の熱燗、たまんねえな、で、鍋は何です」
「さっき魚屋が、縁起のいいのが入った、ってんでトラフグを持ってきたところだ」
「へー、なんでトラフグが縁起がいいんです?」
「今年は寅年だし、虎は生態系の頂点に立つ動物だ、それに虎のシマは縦シマ、”ヨコシマ”なやつはいない、ってな」
「そうですか、虎だって立ちゃ横シマになりやしょ」
「イヤミな野郎だ、皮は湯引きにして、身はフグ鍋だ、お前も好きだろう」
「フグ鍋ね、そいつぁご遠慮申し上げましょ」
「なんだ、フグは嫌いか」
「いやぁ、また”あたる”といけねえ」

そこで本日の一言、
『トラブクは死んで皮を残さず 人は死んで名を残す』

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