自作「コロナ川柳・11句」2020年07月02日 11時55分55秒

自作「コロナ川柳・11句」

【 太っても 今ころならばと 気にかけず 】
「便利だな~、コロナ太りって言葉」

【 日食を コロナ菌みたいと 言う子供 】
「坊や、日食の方が先なんだよ」

【 新社員 履歴書までが マスク顔 】
「きみ、心意気はわかるが・・・」

【 こんな顔 だったかと知る コロナ明け 】
「あらごめんなさい、初対面かと」

【 コロナ禍の トランプゲームで ババ引いた 】
「あくまで、ゲームの話・・・」

【 あご長は 配布のマスク 仕舞い込み 】
「ますます、長く見えるもんな~」

【 ゴミ捨てに マスクが要るか 町もめる 】
「今日の町内会議の議題は・・・」

【 用心を するから白い 口まわり 】
「いいことしてるのに~ぃ」

【 給付金 配布が遅くて 窮す金 】
「うちの店も万事休す・・・」

【 入店時 だけ2メートル ラブホテル 】
「お客様、一応規則ですので・・・」

【 無観客 慣れたもんだよ バンドマン 】
「いつもどおりじゃねえか」

「私設・コロナ派生語辞典」2020年07月06日 11時40分40秒

コロナ関連の用語から派生した言葉がここ数ヶ月で多く出現した。それらの意味と用例を以下に示す。

【 オヨガン・オヨゲン 】
意味:どちらも市販薬の名前。海水浴場閉鎖に伴い開発された精神安定剤。
用例: 今年はサーファーの間でオヨゲンが多く服用されている。
【 カネト・ド・カーン 】
意味:1.アメリカの経済学者の名前。 2.金銭的困窮度の単位。
用例: 「お隣、カネト・ド・カーン度が高いんだって、大変でしょうね」
【 カンキスル 】
意味:物事が入れ替わること、気分を変えること。
用例:「人事異動で部長が地方部署にカンキスルされた」
【 クリビツマクス 】
意味:びっくりするほど値段が高騰すること。
用例:今年は野菜がクリビツマスクするおそれがある。
【 シーメクエン 】
意味:失業、失職のこと。
用例:シーメクエンの嵐がバンドマン業界に吹き荒れている。
【 ショー・ドク 】
意味:1.ショーという名前の医者。 2.潔癖なこと。
用例:彼はショー・ドク主義なのでつり革を手で持たない。
【 ソトデラレーン 】
意味:1.規制下にあるレーン(列)のこと。 2.宅配サービスのこと。
用例:「今日の夕食はソトデラレーンにしよう(宅配を頼もう)」
【 テアライセント 】
意味:消毒効果の単位。
用例:この石鹸の消毒効果は50テアライセントだ。
【 ハナレト・カント 】
意味:1.ドイツの哲学者の名前 2.彼が考案した社会的距離の単位。
用例:鴨川土手のカップル同士の距離は5ハナレトカントという法則がある。
【 ミセシメマス 】
意味:1.今年発見された新種の鱒。 2..物事が立ち行かなくなること。
用例:「あの居酒屋のミセシメマス、美味かったのに、ミセシメマスか」
【 ミツダメダス 】
意味:三密度を測定する機器。ドローンに装着し上空から測定する。
用例:「こちらが現在の渋谷のミツダメダスの画像です」
【 ヤスミナズット 】
意味:正当な理由もなく突然解雇を言い渡すこと。
用例:非正規社員の○○さんは突然ヤスミナズットされた。

「荒唐無稽」と「矛盾」2020年07月09日 12時12分12秒


落語の「荒唐無稽」と言えば、死者が地獄で珍道中を繰り広げる「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」はその代表だが、その他にも、
【 二階ぞめき 】
吉原でのひやかしが激しい若旦那のために、自宅の二階に吉原を再現する。
【 あたま山 】
飲み込んださくらんぼの種が、頭から芽を出し大きな桜の木になる。
【 こぶ弁慶 】
食べた壁土の中の弁慶の絵が、大きなこぶになってしゃべり出す。

などがある。しかし「荒唐無稽」ではなく「矛盾」と感じる噺や、「矛盾」を感じさせる噺家もいる。

「荒唐無稽」は楽しいし、人を傷つけない。しかし、「矛盾」は楽しくないし、人に不安を与え、いつかは興味を削いでしまう。

コロナ対策、献金問題、災害対応、その他諸問題の、「矛盾」が「矛盾」のままだと、人の関心は薄れていってしまう。さて、これからの2020年後半、それらが、どんな結末をむかえるのか・・・。

閑話休題、バンドでのMCも「矛盾」ではなく「荒唐無稽」が必要か・・・
ということで、本日のお言葉、
『 講釈師 見てきたような 嘘をつき 』

「こりゃイカン!」と思う感覚2020年07月13日 12時55分55秒


子供のころ、近くの川が溢れて、住んでいた社宅全部数十軒が、床上浸水したことがある。まだ汲み取り式トイレの時代だったから、不衛生極まりないのに、泳ごうとして親に叱られた。

子供が出来たころの家賃7500円のボロ家では、台風のたびに、家が倒れる恐怖を感じ、ガラス戸がたわみ、雨漏りの音が神経に響き、塀が全部倒れ、朝には通行人から家中が丸見えだった。

その頃の災害情報は天気予報ぐらいで、あとは空や雲を見て自分で判断するしかなかったが、現在は、テレビなどでこと細かに情報が流される。いいことではあるが、自己の判断力、も必要なのでは。

「こりゃイカン!」と思う感覚が、この災害の多発する時代、現代人は鈍くなりつつあるのではないか。以前、喫茶店のキッチンで火災が起きたのに、客はノンビリ座ったまま、ということがあった(自分もその一人)。

そこで本日の教訓、『天災は忘れた頃にやって来る』というが、最近は、
【 天災は忘れる暇もなくやって来る 】

華大風・漫才「コロナ語を学ぶ」2020年07月16日 10時55分55秒


華:なかなか、コロナの収束しまっせんなぁ。
大:そうね、ところで、コロナのせいでいろんな言葉が飛び交いよるけど、分かってますか?
華:アラ~失礼な、あたしゃ専門家ですばい、コロナ語の。
大:コロナ語て、外国語んごと言いなさんな。ほんなら、どげんか言葉ば知っとると?
華:今は「Oh!Go To キャンペーン」ですたい。
大:え、頭にOh!が付いとったっけ?
華:「OhGoTo キャンペーン」、略して”大ごと”キャンペーン、ですけん。
大:そら、旅行とコロナと、両方とも大ごとじゃあるけど。小池都知事も言いよらした、冷房と暖房ばいっしょにかけるごたる、て。
華:あら~、うちんとは冷房と暖房は、いっしょにはかけられんけど、そげな機械のあっとですか。
大:そら喩えたい、ほんなら「マイナポイント」て、知っとる?
華:もちろん、あんまり評判のよーなか、マイナーなポイントのことやろ。
大:違うでしょ、マイナンバーカードば使こたポイント、のことたい。
華:それでマイナンバーカードの普及率ば、今の18%以上にしようて思とらすとやろけど、昭和の年寄りはしぶとかけんね~、「昭和(そうは)問屋がおろさない」て言いますけん。
大:はいはい。「ソーシャル・ディスタンス」は分かるでしょ。
華:またまた、偉そうに難しかことばっかり訊いてぇ、もうあんたとは2m、社会的距離ば置かせてもらいます!
大:それがそうたい。そんなら、せめて、「三密」ぐらいは分かるやろ。
華:ああ、あれね、こないだアナウンサーが言いよらした、「三密を守りましょう」て。
大:「三密」ば守ってどげんしますか、「三密」を避けるのを、守るんでしょうが。
華:そうそう、三密・・・秘密、ハチミツ、壇蜜。
大:なんね、そら。
華:三つとも、危険な甘い香りがする、おそまつっ。
大:大喜利はせんでよかと、もういいよ。

うちに仏壇がやってきた2020年07月20日 10時30分30秒


いろいろ家庭の事情があって、家に仏壇を引き取ることになった。

いろいろある日本の仏教宗派の中で、一番門徒が多いという宗派の仏壇だが、ほぼ中味がない。仏教では「荘厳(しょうごん)」というらしい。

土香炉、蜀台、花瓶、仏飯器など、ネットで探すと宗派別に様々あるが、けっこうな値段がする。しょうがない、似たもので間に合わせるか。

しかし、この仏壇が自分の子供、孫に引き継がれるかも、と思うと変なものもどうか、しかし、懐具合いとの兼ね合いもあるし・・・。

クリスマスで騒ぎ、神社に初詣、風水を信じ、恵方巻きにかぶりつく、お寺はお葬式とご先祖様参り、それが日本人のバランス感覚。

お仏壇を機会に、京都、奈良でのお寺観光で、ボーッと見てるだけじゃなく、寺の宗派や起源など少しは気にかけて勉強してみようか。

ふと、パーツを集めて完成を目指すフィギュアを思い出した。あれと同じで、時間をかけてボチボチ揃えていく、という手もあるかな。

そういえば、8月になれば、すぐお盆。コロナ、相次ぐ水害、たった半年で変わってしまった、2020年の夏、か・・・。

童話 『トロンボーン吹きの豪酒』(上)2020年07月23日 22時00分00秒


豪酒(ゴーシュ)はキャバレーバンドのトロンボーン吹きです。彼は豪快に酒を吞むので、みんなから『トロンボーン吹きの豪酒』と呼ばれていました。豪酒は今日もバンマスから叱られました。「豪酒、お前のアドリブはおもろないねん、もっとハッチャケてでけんか」

豪酒は家に帰り、冷蔵庫から缶ビールを取り出し飲み干して、その勢いで練習していました。すると、一匹のノラ猫が部屋に入って来ました。
ノラ猫はヒゲをなでながら、「シーデシ風のアドリブが聴きたいな」と言いました。豪酒は(生意気な猫だ)と思い、「分かった」と言うなり、張り裂けるような音量で「聖者の行進」を吹き始めました。最初は肉球でリズムを取っていた猫も、しばらくすると、あまりの音の大きさに部屋の中を駆け回り、「もう止めてくれ~!」と叫びました。

「どうだ参ったか、猫なんかにジャズが分かってたまるか、バーカ」、豪酒が言うと、ノラ猫は「ふー、今日のあなたの演奏はどうかしてますね。でも、英語でcatは”ジャズ狂”のことなんですよ」。そう言うと、ヨロヨロとよろめきながら部屋を出て行きました。豪酒はその晩、酒の力を借りずにグッスリ眠りました。

次の晩、練習をしていると、ドアを叩く音がするので開けると、そこにいたのは、みすぼらしい姿をした「閑古鳥」という鳥でした。

(次回に続く)

童話 『トロンボーン吹きの豪酒』(中)2020年07月27日 10時15分15秒


閑古鳥は「すみませんが、私にブルースを教えてくれませんか」と豪酒に言いました。「ブルースだと?、閑古鳥が鳴く店でブルースを吹いたらますます寂しくなるわい」と豪酒が言うと、「少し違うな、ブルースはマイナーではなく、あくまでブルースなんです。三度、五度、七度が微妙に下がることでブルース感が生まれる、そこを勉強したいんです」。(生意気な鳥だ)と豪酒は思いました。そして「わかった、これでどうだ」と、『セントルイス・ブルース』を吹き始めました。

何度も吹いているうち、それは寂しげであり、哀しげであり、でも、楽しげなメロディにも感じてきました。閑古鳥は聴いているうちに涙を流し始めました。それを見た豪酒は「俺の演奏を聴いて泣くなんて縁起でもない、焼き鳥にして食っちまうぞ」と言って閑古鳥のくちばしを掴んで窓から放り出しました。その晩は豪酒はなんとなくブルースな気分になってぐっすり眠りました。

次の晩には、信楽焼きの狸が来てリズムの取り方を教えて欲しいと言いました。豪酒は「リズムは取ったり乗ったりするものじゃあない、一体になるものだ」と言って狸の腹を叩いていっしょに踊りました。あまり激しく叩いたので、腹にヒビが入ってしまいましたが、狸は「これぐらい金継ぎで直せますから」と言って腹を抱えて笑って出て行きました。

次の晩にやって来たのはねずみ男でした。「ノイローゼになった私の心の病気を治してください」と言うので、「俺は医者じゃない」と豪酒が言うと「だって、あなたの演奏を聴いて癒されたと、猫娘や、ぬりかべや、一反木綿が言ったのです」。豪酒は(音楽で心の病気を治せるわけがない、逆にもっと重症にしてやる)と思って楽しい曲ではなくて『レフト・アローン』というとてもとても寂しい曲を吹きました。思ったとおりねずみ男はボロボロと涙を流し始めました。

(次回に続く)

童話 『トロンボーン吹きの豪酒』(下)2020年07月30日 09時40分40秒


ところが聴き終わったねずみ男は「ああ、すっきりした。おかげで心の霧が晴れた気分です、さあ鬼太郎と遊んでこよう」と言って足取りも軽く出て行きました。豪酒は「妖怪と話すと妙に疲れるな」と思いながらそのままぐっすり眠りました。

一週間後、豪酒がいつものようにキャバレーバンドで演奏し終ってバンド部屋に戻ると、客ウケがいいので気分を良くしたバンマスが豪酒に話しかけて来ました。「あのな・・・」

バンマスは続けて言いました。「この店、コロナで客が入らないんでもう閉める言うとるんや。そうなったらお前どうする?」。豪酒はびっくりして「突然そんなこと言われても困るんですけど」と泣きそうな声で言いました。でもそうならしかたがないとも思いました。「分かりました、もちろん退職金とかありませんよね」と豪酒が言うと、バンマスはにこにこと笑って「そんなもんあるわっきゃない」と言いました。「でもな、お前フルバンドでしか使えんと思とったけど、最近のプレイ聴いてたら、コンボでもいけるのんとちゃうか、どこで腕磨いたか知らんけど、えろうはっちゃけたアドリブしよるし」

それからしばらくたつと、世の中からはキャバレーどころか、ライブハウスも、イベントも、小遣い稼ぎのミニ演奏さえ、演奏出来る場所は全く無くなってしまいました。

それでも豪酒は、いつか来るかもしれない仕事のために毎晩練習を欠かしませんでした。今夜も缶ビールを片手に練習をしていました。そして窓の外を眺めながら「ノラ猫や、閑古鳥や、信楽焼き狸や、ねずみ男はどうしているかな。もしコンボからお声がかかったら、あいつらに感謝せんとあかんかな~」とつぶやきました。そして、あのときは意地悪したんじゃない、あいつらのためにやったことだからなと、自分に都合のいいように思うのでした。

<終り>