<SF小説>【ある テレビ評論家の憂鬱】2020年05月25日 10時00分00秒

<SF小説> 【ある テレビ評論家の憂鬱 】

あの災禍から10年経った今、世界は大きく変わった。そのことをテレビの番組は如実に示している。そのいくつかを見てみると・・・。

『 マツコちゃんに褒められる 』
ステイホームで何もしないでボーッと生きていると、マツコちゃんに褒められますよ、「ボーッと生きてんじゃね (^-^) V」、のナレーションでお馴染み、政府推奨番組。司会はマツコ・ティーレックス。

『 キリン・アサヒ・サッポロ・サントリーがくる 』
ビール戦国時代劇、「家飲み」消費者を獲得する為の、各ビール会社の熾烈な戦いを描いた大河ドラマ。

『 それだけやって昇天会 』
口だけ達者な評論家たちがカラーの着物で座布団に座り、昇天した政治家の愚策を糾弾する番組。司会は春風亭辛坊、コマーシャルソングはおなじみ「♪政運~」。

『 海運なんでも艦艇団 』
海賊が横行する世界中の海で、「いい仕事してますね~」と言われるため、海運会社が用意すべき強固な艦艇を、無責任に鑑定する番組。

『 世界の荒れ果てまでイッテY 』
観光客の激減で荒れ果てた観光地や世界遺産を、録画された過去のYouTube画像で偲ぶ番組。

『 ポツリと一間家 』
「家の間取りは一間(1.8m四方)です」と、ポツリと語る人の家に行き、ごく狭い家で三密で暮らせた時代の思い出をたどる、社会派番組。

『 新婚さんいらっしゃいましたか! 』
マスクが法律で義務化され、顔の上半分しか見えないことの不安から、若者の結婚願望が希薄になり、結婚式が激減した世界で、新婚カップルを探し出し、テレビを通じて全地球に知らせ、祝う番組。

これらの番組からも分かる通り、日本は、世界は、そして地球は、10年前から大きく変貌した。あのときの人類の判断、対処は正しかったのか、それはもう問うまい。

今人類は、月、または火星への移民に抽選で選ばれることを祈るばかりだ。なんせ、どちらの星でも、マスクなしで暮らせる、とのことだから・・・。


(※作者注:願わくばこのような未来になりませんように・・・)

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